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開発マップ / 事業性試算で使われている都市計画・建築規制・事業性指標の用語解説です。
用途地域都市計画法
都市計画区域内の土地を建築物の用途に応じて 13 種類に区分し、建てられる建物の種類・規模・形態を定める制度。建蔽率・容積率もここで指定される。
13 区分
- 第一種・第二種低層住居専用地域 (1, 2):低層住宅中心、絶対高さ 10m or 12m
- 第一種・第二種中高層住居専用地域 (3, 4):中高層マンション可、北側斜線厳しめ
- 第一種・第二種住居地域 / 準住居地域 (5, 6, 7):住居中心、店舗・事務所も可
- 近隣商業 / 商業地域 (8, 9):商業中心、容積率最大 1300%
- 準工業 / 工業 / 工業専用地域 (10, 11, 12):工場・物流向き
- 田園住居地域 (13):農業環境保全
区域区分 (線引き)都市計画法
都市計画区域を 市街化区域 と 市街化調整区域 に区分する制度。
| 区分 | 方針 | 開発可否 |
|---|---|---|
| 市街化区域 | 既に市街地、または優先的に市街化を図る区域 | ○ 用途地域指定あり |
| 市街化調整区域 | 市街化を抑制すべき区域 | × 原則として開発不可 |
| 非線引き / 区域外 | 三大都市圏以外で線引きしない場合あり | 用途規制弱 |
防火地域 / 準防火地域都市計画法 8条
市街地の火災延焼を防ぐため、建築物の構造(耐火・準耐火等)を制限する地域。
- 防火地域:都心部・主要駅前・幹線道路沿いに指定。3階以上 or 延床100㎡超は耐火建築物が必須
- 準防火地域:防火地域の外周。比較的緩やかだが、外壁・開口部の耐火基準あり
- 22条区域:屋根の不燃化のみ義務付け(防火指定なし地域)
建築コストに大きく影響(耐火構造は数十%増になることも)。XKT014 API ↗
地区計画都市計画法 12条の5
用途地域より細かい単位(地区レベル)で、街並みや建物形態を独自に定める制度。市区町村が決定する。
典型的に定められる事項
- 建築物の用途制限(用途地域より厳しく/緩く)
- 容積率・建蔽率の独自上限・下限
- 建築物の高さ上限
- 壁面位置の制限(道路境界からの後退)
- 最低敷地面積
- 形態・色彩・素材の制限
- 緑化義務
高度利用地区都市計画法 8条
市街地の土地の合理的かつ健全な高度利用を目的に、容積率の最高限度と最低限度、建蔽率の最高限度、建築面積の最低限度、壁面位置を一体的に定める地区。
容積率の上乗せボーナスを伴うことが多く、再開発事業(市街地再開発・特定建築者制度等)で活用される。
容積率が大幅に増える可能性があるため、再開発地区での開発検討では必須確認項目。
都市計画道路都市計画法 11条
都市計画決定された道路の予定地。整備済 / 整備中 / 未着手 がある。
- 整備中・未着手の計画線上: 建築制限あり(簡易な建築物のみ可、事業認可後は買収対象)
- 計画道路に接する敷地: 将来の道路幅員で道路斜線容積率が変わる可能性
- 長期未着手の路線は計画見直しで廃止されることも
都市再生緊急整備地域 / 特定都市再生緊急整備地域都市再生特別措置法
都市再生の拠点として、都市開発事業を緊急に推進すべき地域として政令で指定された区域。容積率特例・都市計画提案制度・税制優遇等の支援措置が受けられる。
特定都市再生緊急整備地域
上記のうち特に重要性の高い地域。国際競争力の強化を目指す。1都3県では:
- 東京都心・臨海地域 (2,043ha)、新宿駅周辺、品川駅・田町駅周辺、渋谷駅周辺、池袋駅周辺
- 羽田空港南・川崎殿町・大師河原地域
- 横浜都心・臨海地域 (331ha)
ハザードマップ
自然災害リスクを地図上に示した情報。開発検討では立地評価・建築計画に直結。
- 洪水浸水想定区域 (L2): 想定し得る最大規模の洪水時の浸水深
- 土砂災害警戒区域: 土石流 / 急傾斜地 / 地すべり ごとに指定
- 津波浸水想定: 想定地震時の浸水範囲
建蔽率 (建築面積率)
建築面積 ÷ 敷地面積 の上限値。用途地域ごとに 30%〜80% で指定。
角地緩和(+10%)、防火地域内の耐火建築物緩和(+10%)等で実態は上限が緩むケースあり。
容積率
延床面積 ÷ 敷地面積 の上限値。用途地域ごとに 50%〜1300% で指定。
実際には次の2つの小さい方が採用される:
- 都市計画で指定された指定容積率
- 道路幅員から計算される道路容積率(前面道路 < 12m のとき)
道路斜線制限
前面道路の反対側境界から一定の勾配で立ち上がる仮想斜線を越えて建築物を建てられない制限。建築基準法 56条1項。
道路幅員容積率(同52条2項)
- 住居系用途地域: 係数 = 0.4
- 商業系・工業系: 係数 = 0.6
- 前面道路 12m 以上: 道路斜線制限は適用なし(指定容積率がそのまま採用)
絶対高さ・斜線制限
絶対高さ制限
第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域では建築物の高さは原則 10m または 12m。
隣地斜線
隣地境界から一定の勾配で立ち上がる斜線を越える建築不可。住居系で 20m+1:1.25、商業工業系で 31m+1:2.5。
北側斜線
北側隣地・道路境界から立ち上がる斜線。第一・二種低層住居専用で 5m+1:1.25、中高層住居専用で 10m+1:1.25。それ以外の地域では適用なし。
日影規制
冬至日 8:00-16:00 (北海道は 9:00-15:00) に隣地に一定時間以上の日影を生じさせない制限。建築基準法 第56条の2 + 別表4 で対象用途地域・規制構造の区分が定められ、 具体的な規制値 (測定面高さ・規制時間) は自治体条例で指定される。
- 低層住居専用・田園住居 (1/2/13種): 軒高7m超 or 3階以上が対象、測定面 1.5m
- 中高層住居専用 (3/4種): 高さ10m超が対象、測定面 4m or 6.5m
- 第一/二種住居・準住居 (5/6/7種): 同上、 規制時間は (4-5h, 2.5-3h) 目安
- 近隣商業・準工業 (8/10種): 通常は適用なし、 自治体条例で適用される場合あり
- 商業・工業・工業専用 (9/11/12種): 適用なし
規制時間は 「敷地境界線から 5-10m の範囲で X 時間以下」「10m超 範囲で Y 時間以下」 形式。 例: (3h, 2h)/4m = 5-10m範囲 3h以内、 10m超 範囲 2h以内、 測定面 4m。 ピン位置の標準値は dev-map で参考表示するが、 実際の規制値は自治体GISで要確認。
有効率 (レンタブル比)
延床面積に対する賃貸可能面積(NRA = Net Rentable Area)の割合。共用部・コア(EV/階段/設備室)等を除いた専有部分の割合。
| 用途 | 典型的有効率 |
|---|---|
| 大型オフィス(センターコア) | 65-75% |
| 賃貸住宅 | 75-85% |
| 商業(モール) | 60-70% |
| ホテル | 55-65% |
NOI (Net Operating Income)
不動産から得られる運営純収益。総収入から運営費を差し引いた金額。
運営費に含まれるもの
- PM フィー(プロパティマネジメント)
- 修繕費・原状回復費
- 水光熱費・清掃費・保安費
- 固定資産税・都市計画税
- 損害保険料
運営費率は賃料に対して 15-25% 程度が一般的(オフィスは低め、住宅は高め)。
NOI 利回り (Yield on Cost / 開発利回り)
総事業費に対する NOI の割合。開発事業の採算性を測る最重要指標。
これが想定 Cap Rate を上回るほど開発益が出る。一般に「Cap Rate +1.0% 〜 +1.5%」が事業性のあるラインとされる。
| 状況 | 判定 |
|---|---|
| YoC > Cap Rate + 1.0% | 事業性あり ⚪︎ |
| YoC ≒ Cap Rate | 採算ぎりぎり、コスト管理が肝 |
| YoC < Cap Rate | 事業性なし × (建てた瞬間に簿価割れ) |
Cap Rate (キャップレート / 還元利回り)
不動産の収益還元評価で使う利回り。市場での投資家要求利回りを反映。
低い Cap Rate ほど高値で評価される(=人気エリア・優良物件)。
| エリア・用途 | 典型的 Cap Rate (2024-26) |
|---|---|
| 都心オフィス Aクラス | 3.0% - 3.5% |
| 都心オフィス Bクラス | 3.5% - 4.0% |
| 都心賃貸住宅 | 3.5% - 4.5% |
| 大型物流施設 | 3.8% - 4.5% |
| 商業施設(都心) | 3.5% - 4.5% |
| ホテル(都心) | 4.0% - 5.5% |
| 地方主要都市 | 4.5% - 6.5% |
開発マップでは「周辺REIT取得実績」の NOI 利回りを参考値として表示しています。
NOI 3種 (実績 / 鑑定 / 償却後)J-REIT 開示
J-REIT の取得・譲渡開示には NOI 系の数値が複数並ぶ。混同しやすいので分離する。
| 種別 | 分子 | 分母 | 意味 |
|---|---|---|---|
| NOI 利回り (実績) | 運営純収益 | 取得価格 | 取得時点で見込まれる素のキャッシュフロー利回り |
| 鑑定 NOI 利回り | 運営純収益 | 鑑定評価額 | 鑑定評価書の収支に基づく利回り。市場価値ベース |
| 償却後 NOI 利回り | 運営純収益 − 減価償却費 | 取得価格 | 会計上の損益に近い実質的なキャッシュフロー |
譲渡開示PDFには通常 償却後NOI は載らない (取得時のみ)。board の集計で「譲渡case の償却後 = 空」 が多いのは構造的なもの。
Cap Rate と還元利回り — 同じ?違う?J-REIT 開示
どちらも「不動産価格 = NOI ÷ 利回り」 の形だが、文脈で指すものが異なる。
- 還元利回り (直接還元法): 鑑定評価書で使われる、 標準化された NOI を鑑定額で割った率。鑑定評価額の算出根拠
- Cap Rate (市場 Cap Rate): 市場の取引事例から逆算される投資家要求利回り。マーケットの評価指標
開示PDF上の「還元利回り」は前者。dev-map の事業性試算で「想定 Cap Rate」 と入力するのは後者で、両者は近い水準だが必ずしも一致しない (鑑定の還元利回りは保守的に振られがち)。
鑑定評価の利回り 4 種 — 直接還元 / DCF 割引率 / 最終還元 / NOI 利回りJ-REIT 開示
J-REIT の鑑定評価書には大きく 直接還元法 (DC法) と DCF法 の 2 つの収益還元法が併用され、3 つの異なる「利回り」 が登場する。所有ボードのカード/フィルタで使う値はここで定義する。
| 項目 | 計算式 | 意味 | 水準感 (オフィス) |
|---|---|---|---|
| 直接還元利回り (還元利回り / Cap rate) |
標準化 NOI ÷ 直接還元価格 | 長期的に安定した NOI を 1 期間で還元する利回り。鑑定の主指標。 | 3.0〜4.5% |
| 割引率 (Discount Rate) |
DCF法で各期キャッシュフローを現在価値に割り引く率 | 保有期間中 (通常 10 年) のリスクフリーレート + リスクプレミアム。直接還元利回りより低いのが一般的。 | 2.8〜4.3% |
| 最終還元利回り (Terminal Cap rate) |
保有期間末の売却想定価格 = 終期 NOI ÷ 最終還元利回り | DCF法で出口の売却価格を逆算するための Cap rate。建物老朽化等を勘案して直接還元利回りより高く設定。 | 3.2〜4.7% |
| 鑑定 NOI 利回り | 鑑定 NOI ÷ 取得価格 (or 鑑定額) | 市場価値ベースの収益力指標。鑑定 NOI は鑑定書記載の標準化純収益。 | 3.5〜5.0% |
関係性:
- 一般に
割引率 < 直接還元利回り < 最終還元利回り(建物老朽化分のスプレッド)。 - 直接還元利回り ≈ 割引率 − 純収益成長率 g (Gordon model)。長期で g≈0 なら両者は近接。
- 最終還元利回り は直接還元利回り + 0.1〜0.3pt 程度上乗せが多い。物流・住宅は差小、商業・オフィスは差大。
底地物件: 直接還元利回りは記載なし (収益還元の前提が成り立たない) で、DCF法のみで評価され「最終還元利回り」 も空となるケースが多い。所有ボードでは底地物件は構造的非開示扱い。
取得case / 譲渡caseJ-REIT 開示
board の「種類」 列が「取得」 か「譲渡」 かでデータの意味が大きく変わる。
| 列 | 取得case | 譲渡case |
|---|---|---|
| 取得価格 | 実際の取得対価 | 取得時の 帳簿価額 (≠ 譲渡価格) |
| 譲渡価格 | — | 実際の譲渡対価 |
| 鑑定額 | 取得時鑑定 | 譲渡時鑑定 (≒ 譲渡価格が慣例) |
| NOI / 鑑定NOI | ○ | ○ (取得時の数値が多い) |
| 償却後NOI | ○ | × (構造的に空) |
| 売主 | ○ | — |
| 買主 | — | ○ |
「非開示」 となるパターン: 個人・SPC・私募リートが相手方のとき。NDA上の制約。
オフィス空室率の母集団 (三鬼 vs 三幸)マクロ
ダッシュボードのオフィス市況は2ソース切替。同じ「都心5区空室率」 でも母集団が違うため絶対値は一致しない。
| ソース | 母集団 | 傾向 |
|---|---|---|
| 三鬼商事 | 主に 基準階面積 200坪以上 の大規模ビル | 大規模オフィス市況の指標として業界標準 |
| 三幸エステート | 中規模ビル (100坪前後) も含む幅広いカバレッジ | 三鬼より空室率がやや高めに出る傾向 |
賃料は「円/坪・月 (新規募集賃料の平均)」 単位。既存契約の継続賃料 (実勢) とは別物で、新規募集はマーケットの先行指標。
都市別の前月差は 絶対値 (円/坪) で表示。1坪 ≒ 3.3057㎡。
期待利回り — 取引利回りとの違いJREI REIS
日本不動産研究所「不動産投資家調査」 (年2回) で公表される、 投資家が「これくらいなら買う」 と回答した利回り (中央値)。アンケートベース。
- =「これくらいの利回りでないと買わない」 という投資家の 要求水準
- ≠ 実際に成立した取引の利回り (取引 Cap Rate)
- 市場が強気なほど期待利回りは低下 (= 高値で買う)
ダッシュボードでは5アセット (オフィス / 賃貸住宅 / 物流 / 商業 / ホテル) × サブカテゴリ (都心/政令市、ワンルーム/ファミリー、湾岸/内陸、都心型/郊外型) を切替表示。outlook (今後半年の見通し) も併記。
中央値 vs 平均 — どちらを見るべきか統計
不動産データは外れ値 (大型・大阪本社案件・特殊スキーム) で平均が引っ張られやすい。指標ごとに使い分け。
| 指標 | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| dev-map「周辺 NOI 利回り」 | 中央値 | 持分・追加取得・底地など外れ値が多い |
| MLIT 坪単価 (エリア集計) | 中央値 + 平均 + 件数 | 件数が少ないエリアは中央値も信頼性低 (件数で判断) |
| 新築マンション 平均価格 | 平均 + 12ヶ月移動平均 | 不動産経済研の公表値が平均。月次のブレを移動平均で吸収 |
| 期待利回り (JREI) | 中央値 | JREI公表値が中央値。アンケート回答のバラつきを丸めるため |
注: 本ページは概念整理を目的とした参考情報です。実際の開発検討では建築士・弁護士・自治体担当者への確認が必須です。